8-224 ある青年との会話から
民主党政権に代わって、何かと新しい問題が真剣に提起されている。
1960年安保闘争に学生として参加していた。その安保も沖縄基地移転問題を通し、何かと話題になる。なるほど「密約」があったと言うが、それに関するうわさはデモ隊の中に流れていた。それが運動の推進力でもあった。
自民党政権が戦後初めて後退し、日本人らしい真面目な議論が出来るようになった。それまで日本の政治とは、アメリカ極東政策の一戦略部分に過ぎない。資本主義対社会主義という基本問題があり、その選択を巡って世界は分裂していた。人間の手を信じたソ連邦が崩壊し、神の手たる資本主義が勝利をおさめた。今にして思えばあまりにもあっけない幕切れである。
自由と不自由を選択せざるを得ない人間の不条理を語ることは、あまりにも大きすぎる。社会主義は人間のコントロールであり、資本主義は神のコントロールである。この図式を若いときに考えたのであるが、人生経験が乏しいときはよくわからなかった。ここに帰結するこの図式を、ある青年との会話で思いついた。アメリカの崩壊ということを。人間の手にしろ神の手にしろ、経済をコントロールすることは難しい。そこでこれを数学的に考えるという方法を考えついたのが、最近亡くなったアメリカの経済学者である。
なるほどそれは、ノーベル賞を受賞するほど斬新であった。第三の道の発見である。しかし、それほど現実は簡単ではなかった。数学的方法にコンピューターを使い、自由資本主義的に夜中まで経済にアクセスした結果、強欲資本主義は崩壊した。経済が人間の数学能力を超えて暴走し、自由に儲けることばかりを考えアメリカ経済は崩壊、さらなる危険が内在している。
アメリカはピューリタンの国である。その結果、アメリカの精神は唯一キリスト教である。そのキリスト教を信じる人たちが減少し、アメリカは無宗教国家である。証明することはできないが、アメリカが崩壊しつつあるというのは、この一つしかないアメリカの「はどめ」が崩壊している、ということである。人間の手、神の手、数学の手、そのどの手でもない宗教意識の欠如が、アメリカの崩壊の真の原因である。
その点、日本は幸せである。日本の精神状況はご存知のとおり多数である。神道、仏教、儒教、武士道など、数えるとすぐ浮かぶ優れた精神が多数存在する。これに代わるものがアメリカにはない。アメリカを創る時、たった一つヨーロッパから持ち込んだ大切な宝物キリスト教、それをアメリカは棄てた。
精神のないところに、なにものも存在しない。それゆえにこそ、世界の基軸は東洋に移動する。欧米がキリスト教を棄て始めたときに、すでに西洋の崩壊は始まっていた。世界の危機は、精神が多数存在する東洋が救うことになる。これが東洋の今後の発展である。精神のないところに経済発展もない。
言うまでもないが、味のない食物など人間は食べることができない。















