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2018.03.10

杉山勝己と聖書(309)ああ嘆くなかれ。神が死んだキリスト教欧米社会に、止むを得ず新しい時代が、始まったのである

 

 ルサンティマンというフランス語の一般解釈は、辞書にあります。ので、そこでお調べください。

 が、キリスト教的に言うと、ユダヤ国がローマに滅ぼされ、その敗者人(びと)がキリスト教を編み出した(ローマ書のパウロ)あげく、ローマ大帝国をキリスト教化した、という歴史事実を表現し。ヨーロッパ社会の基底にある、敗者の仇討ち的手法が、キリスト教であると言うもの。

 で、いよいよバルトの「ローマ書」に、到れたのである。

 この本を読んだのは、明治学院高校三年の時で。当時、難解中の難解本、であるとは知らなかった。が、ともかく買って読んだ。のが、1956年昭和31年であると、最近確認した。初めこの本は、角川書店から出版された。布製のハードカバーで、上下となっている。1956年の本は下巻で、上巻は1952年、昭和27年に出版されていた。

 高校生当時の自分にとって、出版事情は明らかではない。どんなことで、そこに至ったかは記憶にないが、買ったことは買った。その時は一冊、だったような気がする。多分上巻を買ったのであろう。で、もちろん読んだが、さっぱりわからなかった。しかし、かなりこだわって読んで、要するに字面をたどっていたが、もちろん前には進めなかった。が、本はかなり長く自分の手元にあった。

 と言う事情である。ところが、驚いたことに訳者である、吉村善夫さんは。

 これを、東京帝国大学文学部哲学科のときに、読んだと書いてあり。その文面から押して、どうも原文(ドイツ語)で読んだようだ。と、今所有の最近買った「ローマ書」(オンデマンド版)で知って驚愕した。が、昔の帝大生の能力の高さは、実は経験していた。私の上司が旧制の、そうだったので能力の高さの話を聞いて、知っていたのである。

 彼は、新制大学は大学ではない、といって明治学院という新制大学の部下の私に、それを聞かせた。要するに、戦後の大学制度の、旧制新制の区別を知らなかった頃で。確かに、新制大学二年間は、昔の旧制高校なのであると、後で知った。

 で、それはともかく。訳者の吉村さんは、原文ドイツ語ローマ書で、キリスト教の信仰に入っていったらしい、ことがわかる。この本ローマ書は、1922年版(大正11年)であり、バルトの気持ちが見事に、その冒頭の「序言」に書かれている。それを読むと、直接神の死のことは書かれていないものの、それを巡って、ヨーロッパのキリスト教世界は、長い間大きく動揺していたことが、窺われる。ともあれ1880年代(明治は10年代)以降のニーチェの著作は、凄まじい破壊力があったと、推定できるのも歳をとったせいであろう。

 それを前提にして読むと、この本はよくわかる。

 神は死んだ、このショックから危機神学、ないし弁証法神学と言われる神学が誕生する。が、ニーチェ哲学から、相当の日時がかかっている。その反ニーチェ神学の初動本であったとは。いくらミッションスクールの代表校、明治学院高校であっても、とても高校生には理解できないことであった。がそれで、その後の私は、これで。

 世の中のすべてが不理解了解不可のまま、広く暗く深い街の闇を彷徨うことになった青春、と大げさに言っておこう。で、絵を描いて少しは救われた、のである。同年の、イギリスビートルズが、人文音楽の真髄などとは、当時全く知る由もなかったことである。

 そこで、人間道としての絵画は、小なる空間に。必然的に、全てを整合統合する(するらしい、するだろう、する)と、知ったのは最近である。要するに、ビートルズのイマジン、なのである。そこでオノヨーコは、日本人であると、知った。    

 

 下の写真は危機神学や弁証法神学にゆかりの深いスイスの町、safenwilです。

 

 

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