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2018.07.05

杉山勝己と聖書(467)聖書はいかにして、信じられるのか(57)天使論は、如何に展開するのであるか(三)頼んでおいた本間俊平の生涯、を買いに古書店に行き、乙女島のおとめ、も買って、帰ってきた

 

 のは、風の強い、これで四日も五日も吹いている南風の日である。

 乙女島の方は、田中小実昌さんの短編小説の集積で。早速ドトールに入って、その一遍を読んだ。その二人の人の作品が連動するのは、要はキリスト教であるからである。

 偶然とは、いえ。なんとも。本間さんを買いに行って、田中さんまで買った、のは、なんとも。言えない、偶然であるが。うれしい。

 本間さんは、千古の響の中で、もし大東亜戦争の大義に曇りがあれば、「この根本に欠陥あらんか、大東亜共栄も或いは空論と化するうれいなし、とぜず」と、初めから書いている(昭和18年に)。で、言うまでもなく、空論で済めば、それでもいいのであるが。原爆を二発も食らって敗戦し、人々の心は荒んで、しまったのは、言うまでもない。が、そのすさみの只中を生きる羽目になり、当人は軍隊帰りの新生の東京大学の学生でありながら、ヤシとして全国をさまようことになる、田中さんの小説に。書かれた日本の現実は。実は、読むに耐えない。

 その一節を書いておきたい。

 題は「闇の道行き」。

 目の下の海はあおく、イッ子のお尻はしろくまるかった。  

 

 それは、ありとし有るものを有らしめているあの存在の秘密(もともと名がないものというより、ニンゲンなんかに名前がつけられるのもではないが、真理などとよぶひともいる)のように、分けることのない、ゆるぎないまるさで、欠けることがないまま、現身(うつせみ)のフォルムとしては、ふたつに割れていて、その間から、流体になった光がほとばしりでていた。

 そのしろさも、白とか黒とか、色の種類でわけられるしろさではあるまい。  

 

 いまだに色の名前もない太初の色、太陽のひかりのような、しろいかがやきそのものだ。  

 

 事実、すぐそばの山肌にのこった雪よりもしろい。

 イッ子は、欠けることのない、まるい、しろい、お尻をだしたまま、キーンとひびく声で、やはりお尻を出して、そばにしゃがんでいるぼくに、文句を言った。

 で、多分。その後同棲することになる、自分の妻の。そんな戦後の荒んだ情景を、表現したのであろう。その妻が、野見山さんの妹さんで、というプライバシーが想像できる展開であるが。ともあれ、荒んだ人々の戦後を、表している。一方は、無学の高揚した信仰の人(本間俊平)であり、一方は牧師の息子でありながら、戦争で招集され。人殺しの只中を生きた東大在学中の若者と、野見山さんと言うやはり招集された画家の卵(芸大)の、戦後史なのであると、私は知るのであるが。

 ともあれ、ことここに至ると、ネットで申し込んでいた古書店の、ご主人に。なんで、田中さんの本だけを平置きにしたのですか。と、聞かざるを得なかった。本はもう、本間さんのものだけにしようと。その予算だけをATMで下ろして、いたので、田中さんの本まで買うと。家に帰れるのか心配になった。のだが、ドトールに入って220円のコーヒ代を払い、田中さんの短編を読んだのである。古書店のご主人は、その本は(田中さんの)、先ほど昨日買ってきて(仕入れて)棚に並べたばかりです。こんなに早く、売れたのは、最短記録ですと、嬉しそうだった。

 南風の強い日で、本当に参った。副都心線だと思って入った改札口は、東西線で。それで、また地上に出て、副都心線の駅まで歩いて帰ってきた。本当に、強い南風である。  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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