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2018.11.18

永遠の生命とエンゲルス

 

 エンゲルスという人の、「イギリスにおける労働者階級の状態」、

 という魅力的な本は、私の愛する本である。何と言っても、その本はバイブルの次に大切な人間記録であって、19世紀の初頭は、このように始まったのである、と知る。ことが、できる。

 19世紀とは、遠くない世紀である。今は20世紀が終わり、21世紀の初頭とは言え、たかが200年強にすぎない話である。あの時、イギリスのマンチェスターでは、悲惨な労働者の群れが呻吟していた。人が人を支配する世界は、悲惨になりがちであるが、それは今も変わるものではない。

 クローニン(苦労人・私が勝手につけた漢字)は、それを小説にしたのである。彼を、もう少し正確に調べてみると、生まれは明治29年で、1896年であるから、40歳ぐらいで書いた「天国の鍵」は、1941年、で。要するに、廿世紀であるが、エンゲルスの論文が19世紀初頭とすれば、エンゲルスの書いた労働者の悲惨からは、だいぶ年月が経過している。にも関わらず、彼が書いた状況は、要するに、ますます悪くなっている、とするのがイギリスの当時の働く状況であると、判断できる。そんな状態で、世界大戦は始まるのである、と知る。

 主人公は軍艦造船所の児童リベット工であるが、リベットの打ち方は、過酷な労働であるにも関わらず、孤児などの子供を使っていたのであると、知ることができる。彼は、その地獄の労働から、救出されるのであるが、その労働は両親の死によって、もたらせたもので、その死は要するに。宗教闘争によって、であるというイギリス史を書いている、ということになる。主人公は、後で、中国で働く神父、なのである。

 で、エンゲルスの本の、岩波文庫の表紙にある文面をご紹介しよう。

 「19世紀初頭のイングランド労働者階級の日常生活を仔細に伝える本書は、読み物として面白いものであるのみならず、その学問的意義も、出版から約1世紀の今日なお少しも減じていない。労働者階級の状態が初めて科学的に解明され、労働者階級が初めて資本主義体制の変革主体として位置づけられた記念的著作。」となっている。

 これを読んで、今。複雑な気持ちであるが、この状態が今も、見かけは違うとは言え、今も。平然と人間支配の精神的状態として、実在しているということを、クローニンは書いているのではないか。彼は、私の祖父の年代の人で、つくずく人間罪の深さを、実感しつつ読んでいるのであるが。 

 

 では、諸君、今日も働きたまえ。神に感謝して。 

 

 

 筒井友美個展 「帰る場所」

  https://m.youtube.com/watch?v=uhejKeFZBGc

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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