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2018.12.11

永遠の生命と賀川豊彦の「宇宙悪」について

 

 この宇宙悪、という概念はちょっと読むと、なにやら怪しい。

 が、明治学院で学んだ賀川豊彦にとっては、当然の成り行きであった。と、思う。

 この超有名な人物は、かつて我が先輩として世界に名を馳せたのである。日本の社会運動の黎明期に、大体の日本の社会運動はこの人に端を発する。と、言い切るのは、よろしくないにしても。今は流行らない(リベラル運動は別)、左翼運動の大半は、イデオロギー的共産主義を除いて、彼の行動力から生まれた。と、言って良いであろう。

 それはまず置くとして、彼が明治学院にいた時の彼の発想の原点が、この「宇宙悪」である、ということを。今まで、真剣に考えたことはない。氏のあまりにも華やかな運動、に幻惑されて、その内在化した哲学的な問題には、考えは及べなかった。

 が、彼が小説「死線を越えて」(当時のベストセラー、現売している)で書いた、明治学院の学生時代で考えた、いわゆる哲学の原点は、ここにあったのである。それは、彼の不幸な出生による。彼は、俗に言う妾の子で、その自分の、家族的血のハンディは一生彼を支配したのであろう。その彼が、明治学院に来て、キリスト教的正義に触れ、たちまち哲学的発酵をし、実に天才的な展開をしたというわけである。

 彼の宇宙悪、は自己生命の暗い部分に光をあて、それこそ必死の学的追求となった。「宇宙の目的」という本は、アメリカのプリンストン大学の英才の注意を引いたらしい。それが英訳され、アマゾンで、今も売られていると知ったので、昨日申し込んだ。英語で、著された島崎藤村の「夜明け前」と、賀川豊彦の「宇宙の目的」と。さらに勢いに乗って。あわよくば田山花袋の「蒲団」、さらに国木田独歩の「武蔵野」までも、英訳されてないか、今調べている。

 が、日本文学を英語で読む、面白さは、聖書を英語で読む楽しみから生じてきたのもである、が。

 なんとも、老人の愉楽は尽きない。

 で、賀川はその本の序で、次のように書き始める。要約して書くと。宇宙悪の問題と取り組んだのは、私の十九歳(祖父ネット注、自分は妾の子であるという問題に悩んでいた頃)の時であった。そこで私は、原子論を研究するために、京都大学のある教授をたづねた、とある。1912年(大正元年)ごろのことで、明治学院時代と思われる。

 1914年大正3年、一時戦が始まるとプリンストン大学に行く。そこで「哺乳動物の進化」を専攻する。いかにも、妾の子の、母親のその罪深い経緯(と、彼が思っていた)が、その研究には内在していたのである。明治学院キリスト教の、キリスト教的善悪思想の影響が深いと言えるだろう。その後、平和運動労働運動など、キリなく社会運動を行ない。平和運動の時は、憲兵隊に捕まり、巣鴨刑務所(今の池袋サンシャイン)に入る。のであるが、そこが、東條英機の刑死したところで、明治学院の院長となる武藤富男が、刑死前の東條を見舞うところ、でもある。

 賀川は、巣鴨刑務所で、「哺乳動物の骨格の進化」を読む。

 というから、その問題は一生をかけた追求となる、とは当時賀川も思っていないことであろう。が、明治学院の教授という肩書きを持って1960年に死ぬまで、この問題を追及していた。

 英語で、COSMIC PURPOSE としてプリンストン大学の教授トムヘイスティング氏が、英訳したのであるが。を、アマゾンで昨日買った。この暮れに、船便で送ります、とメールが、入った朝と、なった。

 筒井友美個展 「帰る場所」

  https://m.youtube.com/watch?v=uhejKeFZBGc

 

 

 

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